●(59)失われぬ時間

「今は規則を守る時ではない。今こそ世界中の人間が力を合わせる時です!」
オリビアの熱弁に、長官はううむ、と首を捻った。
トラッシュ達の活躍がなければ、今頃、世界はネオザースに支配されていたのかもしれない。
トラッシュ達は評価されてしかるべきだ。しかしそういった例外ルールを適用して、この先Gシステムが
管理できるというのだろうか? ジーズ・ユニコーンはGシステムの管理を一手に引き受けた厳格な組織。また再び「大破壊」のような悲劇を起こさないために、厳しく取り締まらなくてはならない。人類を滅亡の危機から守るために。
・・・人類を守る? その目的はトラッシュ達と一緒だ。
「世界のために散っていった犠牲を、ガベンジャーの命を無駄にするつもりですか!」
オリビアの言葉に、長官ははっとした。
決断の時だった。
「・・・わかった。宇宙船の建造に協力しよう」
長官室に歓声が上がった。
「ただし、宇宙船の建造は並大抵のことではない。かなりの努力が必要だ」
破壊の爪痕は、旧世紀の文明時代の産物がまだ残っている。
その中なら、宇宙船の情報があるだろう。その情報を99個集めてこなくてはならない。
それぐらい宇宙船の建造とは大変なことなのだ。
Gシステムを動かす莫大なエネルギー量は、それまでになんとかしよう。
ユニコーンの長官はそう約束してくれた。
トラッシュ達は、破壊の爪痕の差深部を目指すため、別の入り口から入ることにする。破壊の爪痕には秘密の入り口があるのだ。
マリーの家にて出発の準備をしている時、トラッシュは謎の少女に呼び止められる。
それはサイコガンダムに乗っていた少女、ラピスだった。
マリーの看病の甲斐があって、回復したらしい。
「あなたがトラッシュでしょ? よく覚えてないんだけど、あなたがあたしを助けてくれたんでしょ。マリーにそう聞いたから。ありがとう」
ラピスは記憶があやふやになっているのかもしれない。トラッシュ達と激しい戦闘をしたことを覚えていないとしたら、それは幸せなことだろう。
「身体の方は大丈夫なの?」
トレミーが心配気に声をかけたとき、ラピスの目が大きく見開いた。
「トレミーお姉ちゃん?」
ラピスは昔の自分を取り戻していた。
トレミーの相貌から涙が溢れた。
当たり前の平和。当たり前の現実。それが少女に戻っているのだ。

























































