●(42)最後の命令


デビルガンダムの搭乗者(生体ユニット)は、アイゼングラード軍総帥だった。
その事実に声が出ないレンザー。
アイゼングラード軍がこうも簡単に乗っ取られた理由は、軍のトップである総帥をDG細胞に感染させることに成功したからだったのだ。
「わたしが抑えている間に早く! トドメを・・・」
長年、軍隊に属し、総帥を尊敬し続けてきたレンザーにはできない相談だった。
レンザーはトリガーに指をかけながら、辛い選択に迫られていた。
感染者だったレンザーには、ひとつ分かっていることがある。
DG細胞の治療法は無いに等しい。とくに脳が侵食されている場合、事実上救う手立ては無い。
レンザー自身が助かったのは、早期治療とマリーの実力、そして運だ。時系列から考えてみて、総帥は既に手遅れだろう。
しかし、頭では理解できているとしても、自らの手で恩師に引き金を引くことのできる人間などいるものか。
レンザーにはできなかった。尊敬する総帥をこの手にかけることなどできるはずがない。
「これはなるべくしてなったことなんだ」
総帥はDG細胞の侵食と戦いながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
ネオザースにつけこまれたのも自分の甘え。そして人類を守るという使命を掲げていたアイゼングラード軍が人類を恐怖に陥れる手伝いをしてしまった事実。それらの罪を償い、清算しなくてはならない。
「武力という安易な方法で世界を救おうとしたわたしの責任だ・・・」
戦うために武器をとった。しかし、それらを逆に利用されることなど考えもしなかった。ただ単に戦火を広げてしまっただけではないか。武力など、最初から無ければ、こんなことにはならなかったのだ。
総帥は、レンザーの性格を熟知していた。彼女の軍規に背かない厳しい性格、優しい性格からして、自分に銃口を向けることはできないだろう。
だから言った。
「これは命令だ! デビルガンダムを排除せよ!」
レンザーは、もう迷うことはしなかった。
「分かりました! 排除します!」
「あとは頼んだぞ・・・」
レンザーの手によって、完全消滅するデビルガンダム。
レンザーは涙ながらに、その炎を見つめ、敬礼をした。
「・・・見事な最後でした、総帥」
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勢いがいいですね
今見返すとあのラストの良さがわかる
私なりの見所■DG細胞
Gガンダムの世界、未来世紀において、ガンダリウム合金は、ディマリウム系合金の一種とされている。ディマリウムとは、重力制御・慣性制御を可能にする合金で、バリエーションによっては精神感応制御を可能にするものまである。
カッシュ博士の開発したアルティメットガンダムには、あらゆる環境下での活動できる生物的要素を備えたナノマシンが使用され、それはU細胞(アルティメット細胞)と呼称された。
しかしU細胞は暴走し、アルティメットガンダムはデビルガンダムと化し、U細胞もその活動内容までも進化させた。あらゆる構成物を自身の支配下に置く「DG細胞(デビルガンダム細胞)」と呼ばれる細胞への変化である。
DG細胞の感染者はデビルガンダムの支配下に置かれ、デビルガンダムの破壊衝動と同期して凶暴化する。またマシンが強化されるのと同様、その肉体も強化され、死者の再生機能をも備えたゾンビ兵となる。ただ、強靭な精神を持つものなら、デビルガンダムの支配から逃れて逆にデビルガンダムを支配することもできることは、マスターガンダム搭乗者「東方不敗」ことマスターアジアが立証している。
デビルガンダムは、その当初の開発コンセプトが示す通り、最初は地球の環境を復活させるという高尚な機体だたわけだが、政治的な黒い力の前に、さんざん利用された不幸の機体とも見ることができる。
DG細胞は、最終的には生命の生誕を司る女性を生体ユニットを必要とし、主人公のパートナーを取り込むことになるが、ガンダム史上、最も熱い愛の告白を経て繰り出された「石破ラブラブ天驚拳」の前に完全消滅することになる。


























































