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2005年07月29日

●(38)雨の再会

『天剣絶刀』ガンダムヘブンズソード

ガベンジャーから託された機体、Zガンダムを駆り、改めて3つめの砦へと入るトラッシュ。
そこへ、謎の人物から通信が入る。

「来ては駄目だ・・・トラッシュ・・・引き返せ」

雑音で切れ切れになり、聞き取れない通信は、かろうじて聞き取れる声で忠告らしきことを言うと、そのまま途絶えた。あなたは、誰なんですか? トラッシュの質問は、そのままノイズの中にかき消える。

砦を守る敵戦力はあっけないほど弱かった。いや、新しい力であるゼータガンダムが強すぎるのか・・・。手ごたえのない敵に疑問を抱く一行を、頭上を巨大な影が襲う。空中から鳥の姿をした何かが襲い掛かかってきたのだ。

 

上空で翼を翻したそれは、MS形態へと変形し、トラッシュのゼータガンダムの前に降り立った。
『天剣絶刀』ガンダムヘブンズソード。空中戦用のデビルガンダム四天王のうちの1機だ。

「だめだ・・・逃げろ」

ヘブンズソードの搭乗者がソウメイ中将であることに驚くトラッシュ。
さきほどの通信はソウメイからだったのだ。しかし何かがおかしい。

「もう耐えられない・・・わたしがわたしでいられなくなる・・・逃げろトラッシュ君」

何かを堪えるように、必死にトラッシュに訴えかけるソウメイ。
しかしソウメイは完全にDG細胞に侵食され、トラッシュ達に襲い掛かる。
厳しかったが優しく凛としていたソウメイが、狂気のように襲いかかってくる事実を受け入れがたいトラッシュ達。あれほど正義感が強く平和のために戦っていたソウメイの変貌ぶりが信じることができない。ヘブンズソードの翼が巻き起こす範囲攻撃にガタガタになるパーティ。

迷いを捨てなくては生き残れない。勝てない。

何度と無く繰り返してきた自問自答。しかし人はそうも簡単に変われるものなのだろうか。
もっと強く。信念をもって。
仲間の叱咤もあり、トラッシュはガンダムゲブンズソードを撃破する。

「ごめんなさい・・・ソウメイ中将」

大破したMSの中で正気にもどったソウメイに、トラッシュは涙ながらに謝る。

「これでいい・・・こうするしかなかったんだ。ありがとうトラッシュ」

ソウメイは、自分が手遅れな事を知っていた。
倒されることでしか、自分を止めることはできないと。
そしてそのための覚悟もできていた。

爆発するヘブンズソード。降りしきる雨の中に佇むトラッシュは、新たな決意の炎を燃やしていた。


「ごめんなさい、ソウメイ中将。でもボクは仲間を、みんなを守りたい。世界を守りたいんだ!」


  仲間の仇を討ちたいという少年の願いは、
  いつからか、みんなを、世界を守りたいという気持ちに変わっていた。
  辛い道を選択した少年の前に、茨の道は続く。



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■機動武闘伝Gガンダム(1994年)
ガンダムシリーズの異色作で、余りにも突飛な設定と奇抜な演出に、初代からのガンダムファンから毛嫌いされた問題作。当時は格闘ゲームの全盛期だったため、ブームに乗ってダメになったガンダムシリーズとして酷評されたこともあった。この作品をガンダムと認めない人も多いが、ガンダムを語る内にこの作品に触れることも多く、いかにインパクトのあった作品であったかは窺い知れる。放送中よりも放送終了後に「意外に良作」と火がついたことも初代ガンダムに似通っている。
ガンダムの生みの親である富野由悠季監督が、前作である「Vガンダム」終了後に次のガンダムを作ることを嫌がり、「つぎのガンダムはプロレスをする」と冗談で言った、それを聞いた上層部が「ミスター味っ子」という、料理アニメ番組なのに過剰な演出で話題になった今川泰宏監督を抜擢した、という逸話がある。
初代ガンダムファンから「ガンダムではない」と嫌悪される作品だが、実際には、富野由悠季自身もストーリーのアイデアにノリノリで参加している。

小説版:機動武闘伝Gガンダム (発動の章)

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